医療費を健康な人にキャッシュバックしたら?

http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2012092700684

国民の医療費が37兆円だそうで、一人当たり利用額も年間30万円ぐらいだそうな。

高齢者で見れば、さらに倍ぐらいを使っている。

一方で、払う方はというと、当然だが若い世代に負担が集中する。
我が家では、おそらく医療費利用額として年間10万円程度だが、支払っている額は30万円ほど。
つまり、20万円分は高齢者に回っている。

払うのが嫌だと言っている訳ではないし、自分も高齢になればお世話になるんだろうから、それなりに蓄積されているならいいが、どうもそうではない。

昔は4人に1人が支えるといっていたが、最近は2人が1人を支えている。とはいえ、高齢者は無駄に病院に行っているような部分も多々あろうし、お茶のみコミュニケーションなら病院以外でやって欲しい。また、中には「わしゃ、病院なんか行かん!」という頑固爺もいるだろうし、高齢でも元気な人も居て、医者なんかに掛かったこともない、という人もいるだろう。

とすると、支払った内、自分が医療費を使わなかった、つまり健康に過ごせた期間が一定の長さがある人には、何割かでもキャッシュバックしてくれたら、無駄な病院通いが抑制され、医療費全体も縮小するんじゃなかろうか。

マイケル・サンデル先生に聞いてみたい。公共の財、国民皆保険として成立している日本の医療費を支える仕組みを、根本から現金目当ての健康維持という方向にふったとき、果たして何が起こるのだろうか。

サンデル先生の著作によれば、学校の成績が良くなると現金を渡す学校がアメリカなんかには増えているそうだが、実際その効果は出ている、つまり成績が良くなる生徒もいるようだが、果たして、これが真に財の使われ方として正しいのかは疑問視されている。

その点、健康だったらキャッシュバックしてあげる、というのは努力が伴うものであり、健康になろうという意識の高まりと、現金というご褒美を天秤に掛けたとして、何ら恥じることはないし、だれしもがハッピーなことだろう。

唯一、発生しうる懸念は、健康を演じるあまり、重大な病気に気づかない、つまり「軽い咳ぐらいで病院はいかないよ」と言った人間が、実は重い伝染病だったりすると、それはそれでやっかいである。無理してしまって重症化したりすると、より医療費が膨らむ。気軽に行けて、早期発見が望ましいジャンルの病だとすると、それはマイナスに働く。

とはいえ、救急医療等の進化や高度化によって、従来は救えなかったような命が救えて良いという半面、それでも医療費は高度になって増加するのだが、かろうじて救われた命を永らえさせるためにリハビリや治療費が莫大になっていったりと、当人はハッピーだったのかもしれないが、医療費全体は高齢化と相まってうなぎ上りである。

尊厳死をうたって当選しなかった政治家ではないが、医療費全体を抑制する仕組みを、単なる上昇をポカーンと見上げているだけでなく、そろそろ本気で考えるべき時なんだろうと思う。