原子力の破壊力

あんまり話題にならない視点から書いておこう。

震災から1年を経過し、その影響と避難がまだ残る中、原発に対しては再稼働か廃止、つまりは脱原発か否かが議論されている。

原発反対派は、事故前から派と事故後派に分かれるはず。誰しも未曾有の大事故の後にはもろ手を挙げて賛成はしない。僕も事故後のにわか反対派と非難されても仕方ない。だって、事故前はせいぜい原発立地の周囲数キロぐらいに何か影響があるんだろうぐらいの認識しかなかった。

原発は無くて済むならそれに越したことはない。ただ、事故後の反対派は、反対し原発がなくなったあとのビジョンが見えない。僕としては、ただ反対するのでなく節電を訴えてかけていくことを同時にやって欲しい。実際はやっているのかもしれないが、報道では伝わらないだけかな。反対派の人達だって電気ゼロでは生活できないのだし。

もう1つ、重要なことは原子力が持つ破壊力だ。事故後の避難区域の広がりや汚染された地域の広さは言うに及ばず、今回たまたま、この程度の事故で済んだのかもしれないのに、この有り様である。破壊力という意味は爆風とかだけを指しているのではなく、人々の生活を破壊する力を言っている。

この破壊力が、仮にもっと広がっていたら、つまりは事故の規模が大きかったらどうなっていたのか。おそらく、関東一円、東北全体に降り注ぐ放射線により、日本の半分が住めなくなっていた可能性もある。
狭い国土の日本において、重大事故もしくは攻撃だってあり得るのに、原発が50も存在し、破壊力の影響を円で示したら、おそらく日本の国土は安全地帯は残らないだろう。

今回の福島第一原発での事故の影響の大きさを、「最大」と信じて疑わない国民がいる。過去の例からして、世界最大規模の事故だったことはあきらかである。

が、もしかすると、これでも中程度で、実はもっと大きな事故が起こる時期が将来に来るかもしれない。それが起こった時、日本には住めない状態になるであろうのに、再稼働が論じられている。

国土が広いアメリカやロシア・中国などとは話は別だ。また、ヨーロッパ諸国のように隣接し合った国同士が放射線迷惑にもなりかねず、逆に避難先としても考えられるような諸国とも違う。日本は狭い島国だ。もし大事故が起こって大量の国外への避難民が発生してしまったら、受け入れてくれる国はあるのか。たぶん、その輸送路の確保も含めて、数ヶ月から数年掛かるような避難民の移動は現実的ではない。

しかし、放射線は風に乗って数時間・数日後には到来する。核シェルターぐらいしか逃げ場はない。原発推進派のお宅にはシェルターがあるんだろうな・・・。

ことは福島県民だけの問題では無い。今回の事故での直接的な被害者は福島県民だが、もっと大きな事故が起こった時は国民の多くが被害者であり、同時に原発に反対しないことはすなわち加害者に成り得る。

この夏、原発再稼働せずに、計画停電を徹底的に実施し不測事態を招かないようにして欲しい。それには協力する。一度、徹底的な省エネを行う事が、新たな社会規範が芽生えてくる気がしてならない。